2012年10月14日
2012.10.6-7 中央アルプス 木曽駒ヶ岳
2012年10月6日木曽駒ヶ岳一日目
今年の紅葉は、急激な気温の変化と降水量がちょうど良かったらしく、とても綺麗らしい、という話だったので、この三連休に親を連れて山に行くことにした。
去年の三連休は妻と涸沢カールに行ったのだが、ちょうど紅葉が良くない年であったのと、涸沢史上最多のテント1200張り、トイレに一時間待ちという超ド級の混雑で大変な思いをしたし、今回は親も行くので6時間のコースタイムはキツイということで、ロープウェイを利用できて無理のない山で、紅葉が綺麗なところはないかと探したところ、木曽駒ヶ岳か白馬かということになった。
結局木曽駒ヶ岳に行くことになり、義母は調子が悪いので家にいることになった。
10月5日の仕事終わりで22時に出発。
関越三芳スマートICから、圏央道を経由し中央道に入る。駒ヶ根ICまで約3時間30分。

2時、菅の台バスセンター駐車場着。ここにマイカーを置き、バスに乗り換える。
ちなみに駐車場は機械式で、何日置いても500円。安い。350台平置き収容だが、この時間で8割は埋まっていた。
ロープウェイの乗車駅であるしらび平行きのバス停にはもう何人かザックを置いており、ベンチには二人、シュラフに包まり寝ながら列取り。
私達もすぐにザックを置いて始発の列を確保した。
菅の台バスセンターは、システムがちょっとわかりにくい。
バス停とチケット売り場が分かれていて、チケット売り場にもここから並ぶように書かれていて、バス停にもここから並ぶように書かれている。どっちに並べばいいのよ!ということになる。
結局、バス停の列が優先で、バスの中でも清算ができるとのこと。ただ、団体だと大変なので、人数が多い場合はチケット売場で事前購入してほしいということだった。3時過ぎにバスの係員がやってきて交通整理を始めるまで、みんなかなり混乱していた。まずはバス停の順番を確保。これが正解らしい。
バス停にザックを置き、一応チケット売場に並ぶ。
先頭に並んでいたおじさん達と、山の話をする。このおじさん達はちょうど踊る大捜査線の署長と、和久さんのようなコンビで、面白かった。署長のほうは自分の歳を冗談混じりで嘆き、和久さんのほうは所轄っぽく自分に負けない感じで、掛け合いが面白かった。
後ろに並んだ人は秋田から7時間も高速を飛ばしてきたという夫婦。木曾駒は日帰りで、せっかくだから帰りに妙高高原に寄っていくとのことだった。
3時、唐突にタクシーが一台くる。5人乗りで3800円でしらび平まで連れて行くとのことで、5人グループのおばちゃん達がエントリー。バスが一人800円なので、一人40円安い。
後ろの秋田夫婦と話し合い、今度きたら相乗りしようということに。
程なくしてもう一台到着したので、タクシーで行くことになった。
今のタクシーは一般的に運転手含め5人乗りだと思うが、ここら辺のタクシーは古い車体を使っているからか、前列に運転手含め3人乗れる。
タクシーは3時過ぎに来たのに4時に出発するから、そのくらいにタクシー乗り場に来いと言われ、半信半疑で待っていると、ちょうどその時刻にタクシーが現れた。聞くと、3時過ぎにもう一組を乗せて帰ってきたのだそうだ。
4時にタクシーで出発。しらび平には4時30分に到着した。

ロープウェイの始発は6時。待ち時間1時間半を、寒さに耐えながら待つ。ダウンを着込み、シュラフとマットを出してしばし仮眠。
5時過ぎると、ロープウェイの係員が出勤してきて、駅構内に入れてくれた。暖房はきいていないがやはり屋内は暖かい。トイレも使えるからありがたい。
ところでバスの始発は5時12分、一時間に2本となっているが、状況により始発を早め、臨時をバンバン出す。片道30分かかるので、補助席含め必ずみな着席。しらび平まではいろは坂のようにクネクネなので、車酔いのある人は要注意だ。
普通にバスに乗ってくると始発でないとロープウェイでまたかなり並ぶことになるらしい。
タクシーで早めにしらび平に到着し、並ぶのが得策。ただし、タクシーはバス停の列の先頭から順に声がけしていくので、これまた要注意。しかも、5時からは事前予約の客を乗せるので、予約無しで乗るにはいずれにせよバス停の先頭付近にいなければならない。さらに、必ずくるとは限らないから厄介だ。
私達は運が良かった。
結局ロープウェイも行列してきたので、5時50分に始発を繰り上げてくれた。
急な階段をえっちらおっちら上り、ロープウェイに乗り込む。
私達は右側の窓際を確保。椅子は無い。定員60名のところに、60名きっかり詰め込まれ、凄まじい圧迫感の中発車。
すぐにスピードアップして、すごい勢いで山肌を駆け上って行く。標高1662mのしらび平駅から、標高2612mの千畳敷駅まで、約1000mの標高差10分弱で一気に上る。

2000mを越えた辺りからだったろうか。山肌が赤や黄に染まり、まるで紅葉の絨毯のような美しさを見せ始めた。

しらび平駅方向に振り返ると、眼前に横たわる南アルプスの峰々。甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、北岳、赤岳などなど。

その向こうには富士山が頭を出していた。今日はいい日になる、直感的にそう感じた。

6時3分 千畳敷駅着。駅はホテル千畳敷の中にある。ちょうど日の出の時刻。空が真赤に染まり、世界が動き始める。

みんな小走りでロープウェイを降り、ホテル千畳敷の裏手の展望台に出て御来光を拝んだ。

朝日が演じる束の間のショウを楽しんでから、ホテル千畳敷の横にまわり、今度は千畳敷カールを眺めた。

噂通りの紅葉で、本当に素晴らしい。ちょっとモルゲンロートも。カールだからか、まるで広角レンズで覗いているかのような広がりを感じる。

まだ人は少ない。剣ヶ池におりてみることにした。ナナカマドをはじめとした沢山の紅葉の中を歩く。

紅葉を独占している感じ。とてつもない幸福感。アドレナリン大放出。

義父も「最高だなあー!」と喜んでいた。

三人で記念撮影。

今日の予定としてはこのカールを横切り

この右上に写っているギザギザのキツイ登りを行き、宝剣岳を左に見て、中岳を越し、中岳と木曾駒ヶ岳の鞍部にある駒ヶ岳頂上山荘のキャンプ場まで歩く。

そうこうしているうちに、ロープウェイはどんどん客を満載して登ってくる。
私達は高地順応のため、しばらくホテル千畳敷で休憩。一気に標高2600mまで上がってこれるので高山病になりやすいのだそうだ。

十分に休憩をとり、8時20分出発。

お花畑を右手に、八丁坂分岐までゆっくり歩く。

義父と妻。山猿が不意に顔を出した感じ。

けっこう寒い。ダウンは必須。観光客の人達はだいたい薄着で、寒さに耐えながら景色を眺める。

左側が宝剣岳。山と高原地図を見ればわかるが、○危マークで埋め尽くされた山。私達にはとても無理。しばしばなにも知らない観光客が登って犠牲になるか、間一髪で救助されるらしい。登山道には危険を知らせる看板が至る所に設置されていた。観光地だから大丈夫、というような甘えは全く許されない。千畳敷はそんな危険性も併せ持つ。

トリカブトが一輪だけ咲いていた。

9時41分。プラプラと歩ける平坦な遊歩道が終わり、いよいよ八丁坂の登り。

少し登っては休み、登っては休み。ゆっくりだが確実に高度をあげていく。



上から眺めるカールはまた一味違う。
10時にもなると登りと下りのすれ違いが大変。どちらも行列する上、登山の決まりごとなど全く知らない観光客が多数を占めるため、危ない危ない。大渋滞。

10時56分、やっとのことで登りきり、乗越浄土着。

中岳に向かって左に進むと、宝剣山直下の宝剣山荘がある。宝剣山荘の裏手で早めの昼食。11時36分。昼ごはんはお義母さんが作ってくれた栗入り赤飯おにぎりと、焼きシャケ。フリーズドライのスープをいれて温まる。食後はコーヒー。

いい眺め。

宝剣岳はやはり険しいね。

横顔みたい。

12時16分出発。宝剣山荘から中岳までは緩やかな登り。

12時49分、中岳山頂。

眼下に頂上山荘と、テント場。

左側に御嶽山が見える。御嶽山は威厳のある山容で一度登ってみたい。

中岳山頂から頂上山荘までは岩だらけの道を急降下。ゆっくりゆっくり。

13時51分、駒ヶ岳頂上山荘着。

テント場選び。水はけが良く、なるべく平な場所を探す。
去年の涸沢のテント1200張を想像していたので、この設営数は意外。この時点で30張くらいか。
何故かいつも、設営の写真は撮り忘れる。テント設営後、義父は寝心地を確認する名目で昼寝。

義父が寝ている間に乾杯!

イワイワの中岳を眺めながら。この景色があれば、缶ビールも格別!中岳と木曽駒ヶ岳に挟まれているため、どこか安心感がある。猫が狭いところが好きなのと感覚が似ていると思う。
昨日から一睡もしていないので、酔いがまわる。たまらず私達も昼寝することに。爽やかに疲れて酒を飲んですぐ寝る。素晴らしい。

17時に起きる。気温は3℃位か。寒い。風も強い。辺りはガスに包まれていた。夕食の準備をする。

あまりに寒いので、上も下もダウンとレインウェアを着込む。

今日のご飯は鍋。妻のザックからカット野菜、豚肉、タラ、エビ、うどんが出てきてびっくりした。うどんは平打ちで、これも生。山で美味しいご飯を食べるというのが、今回の妻のコンセプトだったらしい。

お腹いっぱいに鍋を食べたら、再びシュラフに潜り込む。
ふと気づくと、雨の音がしていた。いつから降り出したのか、不思議に思い時計を見ると1時。寝てたのか。
雨音は大きくなり、小さくなり、風が時折テントを揺らす。その不規則なリズムについていけなくなって、私は再び目を閉じた。
2012年10月7日 木曽駒ヶ岳二日目
5時58分、起床。晴れていれば4時に起きて日の出前に木曽駒ヶ岳に登り、山頂で御来光と思っていたが、予定変更。山では柔軟なスケジュール変更が大事。

寒くてなかなかシュラフから抜け出せないが、トイレに行くためになんとか這い出る。

もうとっくに夜は明けているのに、厚い雲に遮られて薄暗く、寒い。

テント脇には雪が溜まっていた。

気温を見ると、マイナス5℃。寒いわけだ。

寒さしのぎに、しばらくテント周辺を散歩。ちょうど厚い雲が割れて、空が見えてきた。

山の朝が好き。一晩中吹き荒れた風は去り、日の出と共に全てが躍動し始める。その間に少しだけ訪れる静寂が気持ちいい。

テントに戻った時には、再び深いガスに包まれていた。

朝ごはん。妻のザックからは、汁ごとジップロックに入った三人前のおでんが出てきてまたびっくり。
ガスバーナーで熱々にして、フーフーしながら食べた。そしていつものソウセージ。やはりトランギアで焼いたソウセージにはかなわなかったが、うまかった。朝なのに酒が飲みたくなって、困った。

ガスが晴れたら木曽駒ヶ岳に登ろうと思っていたが、いつまで経っても晴れないので8時48分、出発。テントはそのまま。
テント場から木曽駒ヶ岳山頂へのコースタイムは通常約20分。アタックザックに水とカメラだけ入れて、身軽。

ガスの中から軽装な人がたくさん現れては、またガスの中に消えて行く。一便で登ってきた人がもうここまで来ているらしい。

私たちはあくまでゆっくりと登る。

山頂に近づくと一瞬晴れたが、またすぐにガスに包まれた。

9時26分、木曽駒ヶ岳山頂。

木曽の御嶽。
木曽駒ヶ岳山頂には二つの神社がある。
木曽側にある大きめの、木曽の駒ヶ岳神社と、

伊那側にある小さめだが端正な、伊那の駒ヶ岳神社。
そもそも木曽駒ヶ岳の正式名称は駒ヶ岳。便宜的に木曽に位置付けられている。古くから信仰の対象とされ、木曽側から登る人は木曽の駒ヶ岳神社に、伊那側から登る人は伊那の駒ヶ岳神社に参拝したのだろう。

あ、これが山頂の標識か。

高いね。

ガス、晴れないなー。

諦めてテント場へ戻る。

テント前で。お義父さんが雪だるまを作った。

気に入ったらしい。

イチオシらしい。お茶目な70歳。

まあ、よく見れば、垂れ目でかわいらしい。

テントを撤収し、11時16分、出発。
中岳山頂までは急な登り。


登っては休み、登っては休み。

山頂の岩の上で。妻。

それを見てお義父さんも。
顔だけでなく思考も似ている親子。

麓まで降りるとガスが晴れた。宝剣山が険しい山容を見せる。


目の前の岩にホシガラスが舞い降り、飛び立った。

お義父さんがお腹が空いたらしいので、宝剣山荘で食べてもらい、私達はその間に、宝剣山に登ることにした。
ザックは宝剣山荘の義父に頼み、出発。

宝剣山荘から20分もあれば山頂に到着するのだが、○危ルート。

みるからに危険そう。だが、一目で危険とわかるので、逆に安全なのかも。

鎖に次ぐ鎖だが、三点支持でバランスをしっかりとれば大丈夫。

ここは切れ落ちていて、かなり怖い。○危。が、ガスっているので下までは見えず、助かった。

山頂で記念撮影。

一瞬ガスが晴れ、200m程下の千畳敷まで見渡せるようになった。一歩踏み出せば200m真っ逆さまに落ちてしまう。

そう思うとキュンキュンしてきたので、早々に降りることにした。

宝剣山荘の食堂で見つけたプレート。百名山だったんだね。私たちは百名山に疎い。

乗越浄土。遠くに見えるのは濃ヶ池だろうか。


乗越浄土から木曽駒ヶ岳にかけては、燕岳にも、仙丈ヶ岳にも似た雰囲気。千畳敷カールは涸沢カールに似ている。いろんな要素を持った、贅沢な所。


13時27分、八丁坂を下る。降りては休み、降りては休む。

イワツメクサが可愛らしい。

ホテル千畳敷から、下りロープウェイの整理券番号を読み上げるマイクの声がカールに響き渡る。話には聞いていたが、すごい混雑らしい。



ナナカマドがやはり綺麗。
14時30分、ホテル千畳敷着。ロープウェイの整理券はホテル玄関前で配布していた。私達は赤い845-847番の整理券。17時7分発予定。2時間30分待ち。
とりあえずホテルの食堂で昼メシでも、ということで、中央アルプスの水で育ったニジマスを使用した、アルプスサーモン丼を注文。気をつけなければいけないのは、席を確保してからレジの列に並ばなくてはいけないこと。やっとレジまできたところでその案内をされ、面喰らった。

アルプスサーモンは脂乗りが良く、酢飯と良くあって美味しかった。





ロープウェイは巻きで稼働していたがまだかなり時間があったので、義父をホテルに残し、妻と二人でカールを再び散策。宝剣岳を通るルートを少し登ってみた。

16時50分。ロープウェイ乗車。乗車率100%で、ギュウギュウに押されながらも、気合いで窓際を確保。最後の景色を楽しみながら降りる。
しらび平から菅の台バスセンター行きのバスは臨時バスのおかげでほぼ待ち時間なく乗車できた。荷物を入れるスペースは無いので、大荷物は大変。私はたまたま補助席のないところに座ったので、通路に置かせてもらった。
18時、菅の台バスセンター着。ずいぶん遅くなってしまった。ちょうど車の目の前にあった土産物屋で長野特産のりんご、秋映を10kg購入。秋映は硬めの身質で、みずみずしく甘みが強い。果皮の色は濃い。
本当は岐阜中津川恵那すやで栗がしを食べたり、木曽の宿場町にも行きたかったが、諦めてソースカツ丼を食べて帰ることにした。

駒ヶ根では有名な明治亭の本店へ。しかし有名店だけあってすごい混雑。待ち時間を利用して写真を撮る。

山の上にホテル千畳敷の灯りが見えた。
なんか不思議な感じ。
一時間位待つらしく、ただ待つのも勿体無いのでお風呂に行くことにした。
駒ヶ根といえば早太郎温泉。日帰り入浴施設ではこまくさの湯か、こぶしの湯が使い易い。こまくさの湯は千畳敷から帰るバス通りにあり、また目の前に明治亭の登山口店がある目抜き通りであるため混雑している。
こぶしの湯は家族旅行村アルプスの丘に併設の施設で、賑やかな通りから車で5分程離れているだけで、かなり空いている。料金はどちらも600円。晴れの日の昼間なら、中央アルプスの峰々が見えるらしい。
こぶしの湯で二日分の汚れを落とし、いざ明治亭へ。到着するとすでにかなり前に呼ばれていたらしく、名前がない。でも店員さんに事情を話すと、うまく席を空けてすぐに案内してくれた。

山盛りのキャベツと味のある信州豚ロースのソースカツが美味しかった。お金を出せばこんなに美味しい料理に手軽にありつけるとは。。文明社会に感謝。
しばらく今回の山行の思い出話に花を咲かせ、9時過ぎに店を出た。
駒ヶ根ICから中央道。三連休だが、中日のこの時間なら渋滞はないだろうと思っていたが、上野原あたりから八王子まで渋滞。恐るべし三連休。
行きは急いでいたので関越から乗り継いだが、帰りは全く急いでいないので八王子から一般道へ。高速料金は1000円安くなる。
1時過ぎ、無事帰宅。
木曽駒ヶ岳は一度行ってみないとと思っていたが、本当に素晴らしい山だった。
また、千畳敷まで駒ヶ岳ロープウェイで簡単に行けるというのも、誰もが山に親しめるという点で素晴らしいことだと思った。ホテル千畳敷のレストランで隣り合ったおばあちゃんが、
「初めてここに来たが、こんな綺麗な紅葉は初めて。来て本当に良かった。」
と言っていた。
次はいつ行こうかなあ。
今年の紅葉は、急激な気温の変化と降水量がちょうど良かったらしく、とても綺麗らしい、という話だったので、この三連休に親を連れて山に行くことにした。
去年の三連休は妻と涸沢カールに行ったのだが、ちょうど紅葉が良くない年であったのと、涸沢史上最多のテント1200張り、トイレに一時間待ちという超ド級の混雑で大変な思いをしたし、今回は親も行くので6時間のコースタイムはキツイということで、ロープウェイを利用できて無理のない山で、紅葉が綺麗なところはないかと探したところ、木曽駒ヶ岳か白馬かということになった。
結局木曽駒ヶ岳に行くことになり、義母は調子が悪いので家にいることになった。
10月5日の仕事終わりで22時に出発。
関越三芳スマートICから、圏央道を経由し中央道に入る。駒ヶ根ICまで約3時間30分。

2時、菅の台バスセンター駐車場着。ここにマイカーを置き、バスに乗り換える。
ちなみに駐車場は機械式で、何日置いても500円。安い。350台平置き収容だが、この時間で8割は埋まっていた。
ロープウェイの乗車駅であるしらび平行きのバス停にはもう何人かザックを置いており、ベンチには二人、シュラフに包まり寝ながら列取り。
私達もすぐにザックを置いて始発の列を確保した。
菅の台バスセンターは、システムがちょっとわかりにくい。
バス停とチケット売り場が分かれていて、チケット売り場にもここから並ぶように書かれていて、バス停にもここから並ぶように書かれている。どっちに並べばいいのよ!ということになる。
結局、バス停の列が優先で、バスの中でも清算ができるとのこと。ただ、団体だと大変なので、人数が多い場合はチケット売場で事前購入してほしいということだった。3時過ぎにバスの係員がやってきて交通整理を始めるまで、みんなかなり混乱していた。まずはバス停の順番を確保。これが正解らしい。
バス停にザックを置き、一応チケット売場に並ぶ。
先頭に並んでいたおじさん達と、山の話をする。このおじさん達はちょうど踊る大捜査線の署長と、和久さんのようなコンビで、面白かった。署長のほうは自分の歳を冗談混じりで嘆き、和久さんのほうは所轄っぽく自分に負けない感じで、掛け合いが面白かった。
後ろに並んだ人は秋田から7時間も高速を飛ばしてきたという夫婦。木曾駒は日帰りで、せっかくだから帰りに妙高高原に寄っていくとのことだった。
3時、唐突にタクシーが一台くる。5人乗りで3800円でしらび平まで連れて行くとのことで、5人グループのおばちゃん達がエントリー。バスが一人800円なので、一人40円安い。
後ろの秋田夫婦と話し合い、今度きたら相乗りしようということに。
程なくしてもう一台到着したので、タクシーで行くことになった。
今のタクシーは一般的に運転手含め5人乗りだと思うが、ここら辺のタクシーは古い車体を使っているからか、前列に運転手含め3人乗れる。
タクシーは3時過ぎに来たのに4時に出発するから、そのくらいにタクシー乗り場に来いと言われ、半信半疑で待っていると、ちょうどその時刻にタクシーが現れた。聞くと、3時過ぎにもう一組を乗せて帰ってきたのだそうだ。
4時にタクシーで出発。しらび平には4時30分に到着した。

ロープウェイの始発は6時。待ち時間1時間半を、寒さに耐えながら待つ。ダウンを着込み、シュラフとマットを出してしばし仮眠。
5時過ぎると、ロープウェイの係員が出勤してきて、駅構内に入れてくれた。暖房はきいていないがやはり屋内は暖かい。トイレも使えるからありがたい。
ところでバスの始発は5時12分、一時間に2本となっているが、状況により始発を早め、臨時をバンバン出す。片道30分かかるので、補助席含め必ずみな着席。しらび平まではいろは坂のようにクネクネなので、車酔いのある人は要注意だ。
普通にバスに乗ってくると始発でないとロープウェイでまたかなり並ぶことになるらしい。
タクシーで早めにしらび平に到着し、並ぶのが得策。ただし、タクシーはバス停の列の先頭から順に声がけしていくので、これまた要注意。しかも、5時からは事前予約の客を乗せるので、予約無しで乗るにはいずれにせよバス停の先頭付近にいなければならない。さらに、必ずくるとは限らないから厄介だ。
私達は運が良かった。
結局ロープウェイも行列してきたので、5時50分に始発を繰り上げてくれた。
急な階段をえっちらおっちら上り、ロープウェイに乗り込む。
私達は右側の窓際を確保。椅子は無い。定員60名のところに、60名きっかり詰め込まれ、凄まじい圧迫感の中発車。
すぐにスピードアップして、すごい勢いで山肌を駆け上って行く。標高1662mのしらび平駅から、標高2612mの千畳敷駅まで、約1000mの標高差10分弱で一気に上る。

2000mを越えた辺りからだったろうか。山肌が赤や黄に染まり、まるで紅葉の絨毯のような美しさを見せ始めた。

しらび平駅方向に振り返ると、眼前に横たわる南アルプスの峰々。甲斐駒ヶ岳、仙丈ヶ岳、北岳、赤岳などなど。

その向こうには富士山が頭を出していた。今日はいい日になる、直感的にそう感じた。

6時3分 千畳敷駅着。駅はホテル千畳敷の中にある。ちょうど日の出の時刻。空が真赤に染まり、世界が動き始める。

みんな小走りでロープウェイを降り、ホテル千畳敷の裏手の展望台に出て御来光を拝んだ。

朝日が演じる束の間のショウを楽しんでから、ホテル千畳敷の横にまわり、今度は千畳敷カールを眺めた。

噂通りの紅葉で、本当に素晴らしい。ちょっとモルゲンロートも。カールだからか、まるで広角レンズで覗いているかのような広がりを感じる。

まだ人は少ない。剣ヶ池におりてみることにした。ナナカマドをはじめとした沢山の紅葉の中を歩く。

紅葉を独占している感じ。とてつもない幸福感。アドレナリン大放出。

義父も「最高だなあー!」と喜んでいた。

三人で記念撮影。

今日の予定としてはこのカールを横切り

この右上に写っているギザギザのキツイ登りを行き、宝剣岳を左に見て、中岳を越し、中岳と木曾駒ヶ岳の鞍部にある駒ヶ岳頂上山荘のキャンプ場まで歩く。

そうこうしているうちに、ロープウェイはどんどん客を満載して登ってくる。
私達は高地順応のため、しばらくホテル千畳敷で休憩。一気に標高2600mまで上がってこれるので高山病になりやすいのだそうだ。

十分に休憩をとり、8時20分出発。

お花畑を右手に、八丁坂分岐までゆっくり歩く。

義父と妻。山猿が不意に顔を出した感じ。

けっこう寒い。ダウンは必須。観光客の人達はだいたい薄着で、寒さに耐えながら景色を眺める。

左側が宝剣岳。山と高原地図を見ればわかるが、○危マークで埋め尽くされた山。私達にはとても無理。しばしばなにも知らない観光客が登って犠牲になるか、間一髪で救助されるらしい。登山道には危険を知らせる看板が至る所に設置されていた。観光地だから大丈夫、というような甘えは全く許されない。千畳敷はそんな危険性も併せ持つ。

トリカブトが一輪だけ咲いていた。

9時41分。プラプラと歩ける平坦な遊歩道が終わり、いよいよ八丁坂の登り。

少し登っては休み、登っては休み。ゆっくりだが確実に高度をあげていく。



上から眺めるカールはまた一味違う。
10時にもなると登りと下りのすれ違いが大変。どちらも行列する上、登山の決まりごとなど全く知らない観光客が多数を占めるため、危ない危ない。大渋滞。

10時56分、やっとのことで登りきり、乗越浄土着。

中岳に向かって左に進むと、宝剣山直下の宝剣山荘がある。宝剣山荘の裏手で早めの昼食。11時36分。昼ごはんはお義母さんが作ってくれた栗入り赤飯おにぎりと、焼きシャケ。フリーズドライのスープをいれて温まる。食後はコーヒー。

いい眺め。

宝剣岳はやはり険しいね。

横顔みたい。

12時16分出発。宝剣山荘から中岳までは緩やかな登り。

12時49分、中岳山頂。

眼下に頂上山荘と、テント場。

左側に御嶽山が見える。御嶽山は威厳のある山容で一度登ってみたい。

中岳山頂から頂上山荘までは岩だらけの道を急降下。ゆっくりゆっくり。

13時51分、駒ヶ岳頂上山荘着。

テント場選び。水はけが良く、なるべく平な場所を探す。
去年の涸沢のテント1200張を想像していたので、この設営数は意外。この時点で30張くらいか。
何故かいつも、設営の写真は撮り忘れる。テント設営後、義父は寝心地を確認する名目で昼寝。

義父が寝ている間に乾杯!

イワイワの中岳を眺めながら。この景色があれば、缶ビールも格別!中岳と木曽駒ヶ岳に挟まれているため、どこか安心感がある。猫が狭いところが好きなのと感覚が似ていると思う。
昨日から一睡もしていないので、酔いがまわる。たまらず私達も昼寝することに。爽やかに疲れて酒を飲んですぐ寝る。素晴らしい。

17時に起きる。気温は3℃位か。寒い。風も強い。辺りはガスに包まれていた。夕食の準備をする。

あまりに寒いので、上も下もダウンとレインウェアを着込む。

今日のご飯は鍋。妻のザックからカット野菜、豚肉、タラ、エビ、うどんが出てきてびっくりした。うどんは平打ちで、これも生。山で美味しいご飯を食べるというのが、今回の妻のコンセプトだったらしい。

お腹いっぱいに鍋を食べたら、再びシュラフに潜り込む。
ふと気づくと、雨の音がしていた。いつから降り出したのか、不思議に思い時計を見ると1時。寝てたのか。
雨音は大きくなり、小さくなり、風が時折テントを揺らす。その不規則なリズムについていけなくなって、私は再び目を閉じた。
2012年10月7日 木曽駒ヶ岳二日目
5時58分、起床。晴れていれば4時に起きて日の出前に木曽駒ヶ岳に登り、山頂で御来光と思っていたが、予定変更。山では柔軟なスケジュール変更が大事。

寒くてなかなかシュラフから抜け出せないが、トイレに行くためになんとか這い出る。

もうとっくに夜は明けているのに、厚い雲に遮られて薄暗く、寒い。

テント脇には雪が溜まっていた。

気温を見ると、マイナス5℃。寒いわけだ。

寒さしのぎに、しばらくテント周辺を散歩。ちょうど厚い雲が割れて、空が見えてきた。

山の朝が好き。一晩中吹き荒れた風は去り、日の出と共に全てが躍動し始める。その間に少しだけ訪れる静寂が気持ちいい。

テントに戻った時には、再び深いガスに包まれていた。

朝ごはん。妻のザックからは、汁ごとジップロックに入った三人前のおでんが出てきてまたびっくり。
ガスバーナーで熱々にして、フーフーしながら食べた。そしていつものソウセージ。やはりトランギアで焼いたソウセージにはかなわなかったが、うまかった。朝なのに酒が飲みたくなって、困った。

ガスが晴れたら木曽駒ヶ岳に登ろうと思っていたが、いつまで経っても晴れないので8時48分、出発。テントはそのまま。
テント場から木曽駒ヶ岳山頂へのコースタイムは通常約20分。アタックザックに水とカメラだけ入れて、身軽。

ガスの中から軽装な人がたくさん現れては、またガスの中に消えて行く。一便で登ってきた人がもうここまで来ているらしい。

私たちはあくまでゆっくりと登る。

山頂に近づくと一瞬晴れたが、またすぐにガスに包まれた。

9時26分、木曽駒ヶ岳山頂。

木曽の御嶽。
木曽駒ヶ岳山頂には二つの神社がある。

木曽側にある大きめの、木曽の駒ヶ岳神社と、

伊那側にある小さめだが端正な、伊那の駒ヶ岳神社。
そもそも木曽駒ヶ岳の正式名称は駒ヶ岳。便宜的に木曽に位置付けられている。古くから信仰の対象とされ、木曽側から登る人は木曽の駒ヶ岳神社に、伊那側から登る人は伊那の駒ヶ岳神社に参拝したのだろう。

あ、これが山頂の標識か。

高いね。

ガス、晴れないなー。

諦めてテント場へ戻る。

テント前で。お義父さんが雪だるまを作った。

気に入ったらしい。

イチオシらしい。お茶目な70歳。

まあ、よく見れば、垂れ目でかわいらしい。

テントを撤収し、11時16分、出発。
中岳山頂までは急な登り。


登っては休み、登っては休み。

山頂の岩の上で。妻。

それを見てお義父さんも。
顔だけでなく思考も似ている親子。

麓まで降りるとガスが晴れた。宝剣山が険しい山容を見せる。


目の前の岩にホシガラスが舞い降り、飛び立った。

お義父さんがお腹が空いたらしいので、宝剣山荘で食べてもらい、私達はその間に、宝剣山に登ることにした。
ザックは宝剣山荘の義父に頼み、出発。

宝剣山荘から20分もあれば山頂に到着するのだが、○危ルート。

みるからに危険そう。だが、一目で危険とわかるので、逆に安全なのかも。

鎖に次ぐ鎖だが、三点支持でバランスをしっかりとれば大丈夫。

ここは切れ落ちていて、かなり怖い。○危。が、ガスっているので下までは見えず、助かった。

山頂で記念撮影。

一瞬ガスが晴れ、200m程下の千畳敷まで見渡せるようになった。一歩踏み出せば200m真っ逆さまに落ちてしまう。

そう思うとキュンキュンしてきたので、早々に降りることにした。

宝剣山荘の食堂で見つけたプレート。百名山だったんだね。私たちは百名山に疎い。

乗越浄土。遠くに見えるのは濃ヶ池だろうか。


乗越浄土から木曽駒ヶ岳にかけては、燕岳にも、仙丈ヶ岳にも似た雰囲気。千畳敷カールは涸沢カールに似ている。いろんな要素を持った、贅沢な所。


13時27分、八丁坂を下る。降りては休み、降りては休む。

イワツメクサが可愛らしい。

ホテル千畳敷から、下りロープウェイの整理券番号を読み上げるマイクの声がカールに響き渡る。話には聞いていたが、すごい混雑らしい。



ナナカマドがやはり綺麗。
14時30分、ホテル千畳敷着。ロープウェイの整理券はホテル玄関前で配布していた。私達は赤い845-847番の整理券。17時7分発予定。2時間30分待ち。
とりあえずホテルの食堂で昼メシでも、ということで、中央アルプスの水で育ったニジマスを使用した、アルプスサーモン丼を注文。気をつけなければいけないのは、席を確保してからレジの列に並ばなくてはいけないこと。やっとレジまできたところでその案内をされ、面喰らった。

アルプスサーモンは脂乗りが良く、酢飯と良くあって美味しかった。





ロープウェイは巻きで稼働していたがまだかなり時間があったので、義父をホテルに残し、妻と二人でカールを再び散策。宝剣岳を通るルートを少し登ってみた。

16時50分。ロープウェイ乗車。乗車率100%で、ギュウギュウに押されながらも、気合いで窓際を確保。最後の景色を楽しみながら降りる。
しらび平から菅の台バスセンター行きのバスは臨時バスのおかげでほぼ待ち時間なく乗車できた。荷物を入れるスペースは無いので、大荷物は大変。私はたまたま補助席のないところに座ったので、通路に置かせてもらった。
18時、菅の台バスセンター着。ずいぶん遅くなってしまった。ちょうど車の目の前にあった土産物屋で長野特産のりんご、秋映を10kg購入。秋映は硬めの身質で、みずみずしく甘みが強い。果皮の色は濃い。
本当は岐阜中津川恵那すやで栗がしを食べたり、木曽の宿場町にも行きたかったが、諦めてソースカツ丼を食べて帰ることにした。

駒ヶ根では有名な明治亭の本店へ。しかし有名店だけあってすごい混雑。待ち時間を利用して写真を撮る。

山の上にホテル千畳敷の灯りが見えた。
なんか不思議な感じ。
一時間位待つらしく、ただ待つのも勿体無いのでお風呂に行くことにした。
駒ヶ根といえば早太郎温泉。日帰り入浴施設ではこまくさの湯か、こぶしの湯が使い易い。こまくさの湯は千畳敷から帰るバス通りにあり、また目の前に明治亭の登山口店がある目抜き通りであるため混雑している。
こぶしの湯は家族旅行村アルプスの丘に併設の施設で、賑やかな通りから車で5分程離れているだけで、かなり空いている。料金はどちらも600円。晴れの日の昼間なら、中央アルプスの峰々が見えるらしい。
こぶしの湯で二日分の汚れを落とし、いざ明治亭へ。到着するとすでにかなり前に呼ばれていたらしく、名前がない。でも店員さんに事情を話すと、うまく席を空けてすぐに案内してくれた。

山盛りのキャベツと味のある信州豚ロースのソースカツが美味しかった。お金を出せばこんなに美味しい料理に手軽にありつけるとは。。文明社会に感謝。
しばらく今回の山行の思い出話に花を咲かせ、9時過ぎに店を出た。
駒ヶ根ICから中央道。三連休だが、中日のこの時間なら渋滞はないだろうと思っていたが、上野原あたりから八王子まで渋滞。恐るべし三連休。
行きは急いでいたので関越から乗り継いだが、帰りは全く急いでいないので八王子から一般道へ。高速料金は1000円安くなる。
1時過ぎ、無事帰宅。
木曽駒ヶ岳は一度行ってみないとと思っていたが、本当に素晴らしい山だった。
また、千畳敷まで駒ヶ岳ロープウェイで簡単に行けるというのも、誰もが山に親しめるという点で素晴らしいことだと思った。ホテル千畳敷のレストランで隣り合ったおばあちゃんが、
「初めてここに来たが、こんな綺麗な紅葉は初めて。来て本当に良かった。」
と言っていた。
次はいつ行こうかなあ。
Posted by soranotakamihe at 00:59│Comments(0)
│山
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